??? ○○遠征 序章 其の参

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 丑三つ時の名古屋は池下某所。薄明かりの灯る屋号表示なき店。 現地の方ならともかく、この写真だけで分かる人はかなりのヲタ・マニア・フリーク・通。 入口扉の開閉も営業中か否かの目印。



 店前の落書きだらけの謎のホワイトボード。左上角付近にかろうじて屋号の文字が確認できる その店の名は、知る人ぞ知る「大丸」。デパートのそれとは一切関係ないことは 言うまでもない 。“幻の店”とさえ言われる由縁は、その特異な営業時間・店主のキャラクター・中華そば自体・店構え等から来るものと思われる。 そんなカルトなこの店も、建物の老朽化及び耐震基準を満たしていないとの理由から 、2012年8月31日を以っての取り壊し予定に伴い閉店してしまうという。 加えて店主も老齢であり移転予定もなく、8月31日より早い店じまいの可能性ありとのこと。 ならば今のうちに行っておこうと。だからと言ってS級必須店とも違う 、M級必須店とでも言っておきましょうか(爆)。

 さて、開店予定時刻と思しき深夜2時頃に到着すると、他に3名の待ち客。 間も無く店主が出て来て、「できませんので、他で食べてください」と門前払い。 これって臨時休業ってこと? 他3名は諦めて帰っていったが、こちとら遠方からだし、灯りが点いているのに納得いかない。

 入口右に『お客様へ 近所の迷惑になりますから静かにお願いします』とも表示されている。 是即ち、深夜に店前で待つ間に騒がれることを非常に嫌い、そういう客がいると店を閉めて追い払い、 居なくなると再び開店なんてこともあるという。 今は準備中で、五月蠅い待ち客を駆除しただけというかすかな希望を抱きつつ 、3時まで少し離れたところから様子観察してみることに。 その数分後、再び待ち客グループが屯するもやはり追い払われ、 さらにはタクシーで乗り込んで店の中まで確認後、諦めて待たせたタクシーで帰る人までいたり…

 今日は厳しいか?

 8月までに次の機会をいつ作ろうかなど考えつつ、また新たな待ち客集団。 その後、特に動きがなく、待ち客が死角に隠れていたので改めて様子を窺ってみると、 店正面右側方向へ10数名ほどの行列。たちまちダメモトで接続することに。待つことしばらく3時過ぎ、なんと開店!! 待った甲斐があったもの。



 店内は異常に狭く、カウンター6席。1ロット3杯で、私の入店は二巡目、ロットとしては四巡目といったところか 。メニューは「中華そば 550円」のみ。 以前はデフォの中華麺に加えて、きしめん、うどん、そばなどのミックスがあったらしいが、現在はない様子。 代わりに、替え玉と称するカウンター上に置かれたざる入りの茹で置きうどんがセルフ&フリーサービスであり。

 ところでこちらの名物店主。ネット上で色々と云われているが、待っている間に誰も訊いていないのにベラベラ喋ること。 噂通り8月に閉店する旨や、ラーメン店を開く前は「三洋電機」で働いていたとか、三食「松屋」で食べているとか 、インターネットと2ちゃんねるを混同して「2ちゃんねるでうちの噂が1万件出てきます」だとか、 どう見てもパソコンすら扱えそうにないのに客から聞いた話だろうみたいな、 「今年で73(歳)になります。昭和10年生まれだで」って計算合わないじゃんとか、 客席側に置かれている二台の冷蔵庫から麺やらもやしを客に取らせたりとか、色々と笑わせてくれます。 時として材料が切れた場合には、客を近くのコンビニまで買出しに走らせるとも。 そうこうしている内に問題の品が出来上がった様子。 「次のお客さん、はい立って〜!! 肩が上がらんで、熱いから気をつけて(丼を)取ってよ」とカウンター越しまで渡されること3時45分頃。


中華そば \550

 一見「二郎」だが、共通しているのは山盛りのもやしと茹でキャベツのみ。 背脂もカネシもニンニクもなく、ナルト・竹輪・蒲鉾が大量のもやしの下に潜んでいる。 そして甘辛く煮付けた肉。そして醤油の味しかしないと云われるスープ。 確かに出汁感のないシャバシャバな透明醤油スープだが、 自分の印象としては肉を煮込んだ甘めのタレをお湯で薄めたような感じ。



 麺も当然、オーション配合のゴワゴワ極太麺なわけなく、ヤワめのスーパー麺みたいな黄ばんだ中細麺。 序盤〜中盤まではなんとかなるが、量云々以前に終盤この麺とスープの組み合わせでは苦痛になってくる。



 ラーメン一品のみにしては常軌を逸した調味料群。常連客は、とんかつソースや辣油などを各々が好きなようにかけて食べている。

大丸
所在地:愛知県名古屋市千種区今池5-38-23 岐阜正綜合ビルディング map
電話番号:無
営業時間:2:00頃-5:00頃(麺切れまで)
店休日:無休(店主の気分次第)
駐車場:無
最寄駅:地下鉄東山線・桜通線 今池駅より徒歩6分500m
創  業:1964(昭和39)年頃

<備忘録>
・(2012.03.**)
 取り敢えず、この店を旨い不味いで語るのはナンセンスとさえ思えてくるが、言い換えれば…(ゲホゲホ)。 正にオンリーワンであり、強烈な個性を放つ一杯。 ある意味、名古屋の食文化を象徴しているような気がしないでもない。 完食は無理だったものの7〜8割方食べたが、「二郎」みたいな背脂ギトギトではないので、意外や深夜でも気分が悪くなることがなかった。 何はともあれ、妙な満足感と達成感を得て、宿まで帰ることに。 但し、次の日(というかこの日)の行程上、寝れる時間はたったの1時間になってしまったという…

 PS: 丼内に「大丸」の表記がみられる。記念に写真撮っておけばよかったと後悔。 後から知ったのが、岐阜県羽島郡笠松町に店主の弟が営む同名店があるという。 どうやらそちらは全てがまともそう(笑)。



 行列中に配られるキャンディー(手前)と、食後会計時に貰えるチューイングキャンディー(後方)。こんなもの渡されても困るのだが…


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